サーバーエンジニアとは?なるには?年収・仕事内容、必要なスキル、将来性
IT/Webシステムが動作するうえでサーバーの設計・構築、管理保守は欠かせません。そのようなサーバー関連の業務を担当する技術者がサーバーエンジニアです。
今回は、サーバーエンジニアという職種や年収相場、キャリアパス、仕事内容、スキル、将来性について紹介します。
サーバーエンジニアとは
ITエンジニアのなかでもサーバーの構築、運用・保守に特化した技術職がサーバーエンジニアです。クライアント企業から受託したサーバー関連業務やデータセンターに勤務するほか、Webサービスやゲーム、ITシステムなどが稼働する自社内のサーバーに携わる場合もあります。
仕事のやりがい・苦労
サーバーのパフォーマンスを向上するためのチューニングは成功すると成果向上やコスト削減に結びつくため目に見えてやりがいを実感しやすいでしょう。受託開発や新規サーバーの構築などプロジェクト完了に意義を見出す方も多いようです。
また、サーバー・ネットワークなどのインフラは、システムを安定稼働させるという側面ももっています。障害の発生時の対応に応じなければならない職場や大規模なサービスを運営する際の責任などは、サーバーエンジニアならではの苦労ともいえます。
求人需要と年収・給与の相場
クラウドへの移行が進む状況ながら、サーバーエンジニアの需要は増加傾向です。企業から求人のニーズも高く安定した雇用が見込めるでしょう。
サーバーエンジニアの給与について、年収の相場は20代で400万円、30代で500万円代が基準となります。他のIT職種に比べ、高くもなく安くもない水準といえます。
年収をあげていくためには、サーバー関連のスキルだけでなくプロジェクトマネジメントやシステム全般の勉強が必要です。
キャリアパス
サーバーエンジニアは転職の際、次の職場でもサーバーエンジニアとして働くことが多いです。社内SEやネットワークエンジニア、データベースエンジニアとの関連性も高くそれら職種へのジョブチェンジも可能です。
年収アップやキャリアチェンジを目指す場合は、より上流を担当する職種に挑戦してもよいでしょう。また、転職先としてより親和性の高いサーバー、ネットワークの両方を扱うインフラエンジニアやセキュリティに関するスペシャリストを目指すこともできます。
サーバーエンジニアの仕事内容
ここでは、具体的な仕事内容であるサーバーの「構築業務」と「運用・保守業務」について解説します。
サーバーの構築業務
構築対象となるサーバーは、Webサーバー、メールサーバーなど様々な種類があります。サーバーの構築にあたっては、まず要件定義が必要です。その際、開発エンジニアや他のメンバー、あるいはクライアントと相談し、サーバー構成や負荷分散、冗長化などの仕様を決め設計を行います。
設計は上位の職種が行い、サーバーエンジニアは構築部分を担当する場合もあります。開発するシステムの規模や内容により配置するサーバー台数やスペック・処理能力などを考慮してサーバーを構築します。
オンプレミス、クラウドなど構築するサーバーの種類や用途にあわせOSやサーバーアプリケーションのインストール・設定作業を行います。
物理サーバーの構築では、ラッキングや配線といった物理作業があります。サーバーラックに固定したサーバー機器にケーブルを配線する作業では、後々のメンテナンスを考慮した配置、配線にするなど経験も必要とされます。
サーバーの保守・管理業務
開発後のシステムを運用していくうえで、サーバーの保守・管理についても重要な仕事となります。システムの安定稼働をおこなううえで障害対応やエラー監視は欠かせませんし、バージョンのアップデート、負荷対策のチューニングなどを行います。最近はセキュリティも重要なテーマです。
サーバーの監視業務では、バックアップが正常に行われているかどうかの確認や、エラーログの解析・修正、不具合が発生した際にはリカバリーなどをおこない、正常な状態へ回復するよう原因を調査、修正します。
それらのメンテナンスを定期的に実施することで、トラブルを未然に防ぎ継続的なアプリケーションの運営が行えます。また、データ量の増加に対応するなど環境を整えることも重要です。
サーバーエンジニアになるには
チームで働くことも多いサーバーエンジニアは、未経験からでも目指すことができる職種です。ここでは、適性や必要なスキル、おすすめの資格について紹介します。
サーバーエンジニアに向いている人
サーバー環境を構築するうえで様々な製品のスペックや特性を把握し機器選定を行ったり、設置や配線などの物理作業を伴う仕事です。そのため、ハードウェア製品やメカが得意な人には馴染みやすいといえます。
スキルアップのためにはサーバーのほか、ネットワークやシステムのアーキテクチャ、セキュリティに関する知識などキャッチアップすべき範囲が多く、必要があれば英語のドキュメントを読み解くなどストイックに業務と向き合う姿勢が必要です。
また、サーバーの保守・運用業務においては、システムを365日安定稼働させるための責任感がもとめられるでしょう。
サーバーエンジニアに必要なスキル
サーバーエンジニアとして働くには、OSの知識が必要です。よく利用されるサーバーOSとしては、LinuxやWindows Server、Unixなどがあり、サーバーを操作する際に使用します。
オープンソースであるLinuxを使用する案件は多いですが、クライアントの環境により利用するOSは異なります。そのため、様々なOSに対応できる知識とスキルを身につけておくことが望ましいです。
また、サーバーの構築や開発業務をおこなう際には、サーバーそのものの知識のほか、要件定義や設計、プロジェクトマネジメントなどシステム開発に関する能力も必要となります。
未経験からサーバーエンジニアになる場合や若手の場合には、最初から完全なスキルが必要なわけではありません。とはいえ、最低限サーバーとネットワークに関する知識を勉強しておくとよいでしょう。
おすすめの資格
MCP(マイクロソフト認定資格)
MCPは、マイクロソフトが提供するベンダー資格です。マイクロソフト製品に関する世界共通の認定資格として、150ヵ国以上で試験が行われています。
Windowsサーバーに関する知識が出題範囲にあるため、サーバーエンジニアとしての力量を試すだけでなく、資格取得の勉強を通してOSに関する体系的な知識をおさらいできます。
MCSA、 MCSE、 MCSDという3つの種類にわかれており、上位資格である「MCSE」「MCSD」を取得するには、MCSA(Microsoft認定ソリューションアソシエイト)に合格する必要があります。
また、MCPよりもさらに入門レベルの資格としてMTAがあります。
LPIC(Linux技術者認定資格)
LPIC(エルピック)は、サーバーエンジニアに求められるLinuxについての知識量を問う資格です。LinuxはサーバーOSとしてのシェアが高く、業務上での知識を役立てることができます。
LPICの試験は、難易度別に「レベル1」「レベル2」「レベル3」とわかれており、上位の試験を受験するには、下位の資格を取得する必要があります。
レベル1の試験は、Linuxの基本操作やシステム管理の基本といったLinuxを利用するための知識を問うものです。サーバー構築と保守・運用に関する問題が多く出題されるため、未経験からサーバーエンジニアを目指す場合でも、しっかりと勉強すれば取得しやすいでしょう。
スキルアップと今後の将来性
サーバーエンジニアとしての仕事は、最初は保守・運用業務からはじまる場合が多いです。そこからキャリアアップするためには、サーバー設計やマネジメントなどより上流工程のスキルを身につける必要があります。
また、サーバーエンジニアの本業ともいえる負荷分散や高速化などのチューニング技術やインフラ全般のスキルを高めることで技術者としての市場価値を高めることができます。
最近では、AWSやGCPなどのクラウド環境を利用するサービスも増えてきており、ニーズも高まっています。まだまだオンプレミス環境の仕事も多いですが、将来性を考えるとクラウドについて学んでおくことも必要でしょう。