広告運用担当者とは?インターネット広告運用の仕事内容・年収・運用型広告の将来性

運用型広告の市場が急成長するインターネット広告業界では「広告運用担当者」「Web広告運用担当」と呼ばれる専任ポジションが生まれています。未経験から広告業界を目指す方や広告運用の仕事に就職・転職を考える方も多いのではないでしょうか。

この記事では、広告代理店やWebメディア企業などで広告の運用業務を担当する「広告運用者」の仕事内容やスキル、平均年収、キャリアパスなどを紹介します。

広告運用担当者とは

広告運用担当者は、広告運用者とも呼ばれインターネット広告(Web広告)のなかでも中心的な役割を担う運用型広告の管理・運用をおこなう職業です。

WebサイトやSNSスマホアプリなどプロモーションを行う媒体の種類やターゲットによって広告の配信先を選定し入稿や予算管理、運用改善、分析・レポーティングなどを行います。

広告運用担当者が扱うインターネット広告の成長は著しく、その結果は数値にもあらわれています。最新動向や国内市場について以下で紹介します。

インターネット広告(Web広告)市場の動向

電通の発表した「2019年 日本の広告費」では2019年インターネット広告費がついにテレビメディア広告費を超え、媒体別でトップになったと報じられました。

インターネット広告費は、国内の総広告費6兆9,381億円のうち30.3%を占める2兆1,048億円となり、市場規模は2兆円を超えています。

2兆円のインターネット広告費の大半を占める「インターネット広告媒体費」1兆 6,630 億円のうち約80%を占めるのが運用型広告です。

インターネット広告媒体費の広告種別構成比をみると、検索連動型広告リスティング広告)とディスプレイ広告の2種で全体の約7割を占めています。

前年に比べると、ビデオ(動画)広告、ソーシャル広告が大きく伸長しています。

インターネット広告運用業務・Web広告の仕事内容

広告運用担当者は、どのような仕事を担当するのでしょうか。Web広告運用の具体的な業務内容をみていきましょう。

企画

マーケティング戦略や広告出稿の方針に基づき、出稿する媒体や予算、スケジュールなどを決定します。

ターゲットユーザー毎に最適な配信面があり、媒体のアップデートや新しい広告も登場するためメディアに関する知識は常に勉強が必要です。

運用型広告は反応をみながら細かな調整が可能なため、大枠や方針を決めておきPDCAをまわしていくという方法もみられます。

ただし、振り返りを実施するためにも、広告の配信目的にそって、KGI・KPIなど計測する指標は設定しておくとよいでしょう。

獲得目的の広告では、CV数やCPA、ROASなどの指標がよくもちいられます。認知目的では、PV数やクリック数、パネル調査などを利用します。

配信後に、目標指標と実績を確認して広告結果の良し悪しを判断します。

入稿

インターネット広告(Web広告)を出稿する際には、各広告プラットフォームの管理画面上から入稿をおこなうことができます。

リスティング広告などテキストの広告フォーマットを利用する際は、キーワードと広告文、広告を掲載するページのURLがあれば広告に出稿できます。

運用型広告では、入札金額の調整も運用者がおこないます。ただし、最近はGoogle広告やFacebook広告などで機械学習による自動入札が強化されている面もあり、AIに任せてしまう運用もふえています。

ディスプレイ広告やソーシャル広告、動画広告などリッチなフォーマットを利用する際は、広告文のほかに、静止画のバナーや画像、動画などクリエイティブが必要になります。

効果の高い広告掲載を実施するためには、ユーザーにあわせた訴求内容やLP(ランディングページ)を用意して、バナーや広告文とも関連性をもたせた内容にすることが重要です。

分析

運用型広告では、広告の掲載結果を分析して運用改善をおこない成果をあげていくことが重要です。

流入経路毎の広告効果やコンバージョンへの貢献などを分析するには、Webページにタグやツールを設定してデータを取得する必要があります。

よく利用されるツールとして、アクセス解析をおこなうGoogle AnalyticsGoogleタグマネージャーなどのタグマネジメントツールがあります。

リスティング広告のほかに、ディスプレイ広告やソーシャル広告など複数の媒体に広告出稿をおこなったり、刈り取り目的の広告と認知目的の広告が並走する場合などは、計測の方法にも工夫が必要です。

きちんと設定して、データや数値が確認できるようにしておきましょう。ABテストやLPO、EFOなどの改善をを実施する際にも役立ちます。

月間の運用広告費が一定額を超える場合は、ラストタッチだけでなくアトリビューションなど多面的な分析方法を採用しましょう。

改善

広告運用で成果を出すには、分析結果をもとに改善をおこないます。改善のポイントとしては、大きく「配信面」「クリエイティブ」「ランディングページ」の3つがあります。

配信面は、広告を掲載するメディアや媒体のことです。掲載時に広告フォーマットや掲載場所を選択して出稿できるため、調整することでパフォーマンスに影響を及ぼします。

例えば、Google広告だけでも、Google検索結果、Gmail、GDN(ディスプレイネットワーク)、YouTubeなどの掲載面があり、表示対象となる広告のオーディエンスなども指定できます。

バナーや動画などのクリエイティブを調整することでも、広告のクリック率(CTR)やコンバージョン率(CVR)を改善できます。

Facebook広告やInstagram広告、LINE広告などのSNS広告では、広告運用の割合でクリエイティブの調整が需要になっています。

ランディングページの改善は、デザイナーやサイト担当者と連携が必要な施策ですが、成功するとCV数の向上に大きく貢献します。

広告運用担当者の活躍する場所

Web広告の運用担当者として活躍できる企業やインターネット広告業界の仕組みについてみていきましょう。

運用型広告で登場するプレイヤーは「広告主」「広告代理店」「メディア」という立場にわかれます。

広告の掲載先であるメディアに対して、広告主は広告を利用する側です。広告代理店は、広告主から依頼されて広告運用を代行する役割を果たします。

複数の区分にまたがる会社も存在します。例えばAmazonは広告主である一方でメディアでもありますし、サイバーエージェントは一つの会社ですべての機能を持っています。

そのように、同じ会社でも事業単位や仕事単位でみるとちがった側面はありますが、広告掲載に対してお金を払う側と貰う側があるということは覚えておくとよいでしょう。

広告主

広告主には、さまざなジャンルの会社があります。Webサイトやアプリへの集客に広告を利用しますが、多くは社内にマーケティング機能をもたず、広告代理店に運用を委託しています。

広告主企業が自社内に担当者を置いて広告運用を実施することをインハウス運用と呼び、代理店での運用とよく対比されます。

広告代理店

広告代理店は、広告主から運用予算を預かりWeb広告やインターネット広告の運用を受託します。

広告代理店にもいくつか種類があるため、以下で解説します。

数としては広告代理店の運用担当者のほうが多いので、最初はそこからスタートしてもよいでしょう。

総合広告代理店

電通博報堂ADKなどテレビCM、ラジオなどのマス広告からイベント、ポスターまで幅広い広告を総合的に取り扱う代理店です。

インターネット広告代理店

サイバーエージェントアイレップセプテーニ、オプトなどWeb上に表示するインターネット広告を中心に取り扱う代理店です。

ハウスエージェンシー

デルフィス、ジェイアール東日本企画東急エージェンシーなど親会社をメインのクライアントとして活動する代理店です。

メディア

メディアは媒体ともいわれ、マネタイズの方法として広告を利用します。Webサイトやスマホアプリ、SNSなど様々な形態が存在します。

大規模なメディアは自社で広告商品やプラットフォームを作り広告代理店や広告主に直接販売します。間接的な方法としてアドネットワーク、アフィリエイトなどの仕組みを利用して収益化する方法もあります。

メディア自身もユーザーを増やすために宣伝活動は必要です。そのため、メディア企業のなかで、自社のマーケティングを担当する広告運用者とクライアントの支援をする担当者といった具合に部署やチームが分かれているケースもあります。

広告運用担当者の年収・給料

dodaの情報によるとネット広告/Webマーケティングの平均年収は419万円です。これは全年齢で男性も女性も含めて集計した平均値です。

以下では、年代別の平均年収を表にまとめました。

年代 年収
20代 370万円
30代 461万円
40代 555万円
50代〜 547万円

広告運用担当者の給料も所属する会社により大きくことなります。給与水準が高いのは総合広告代理店や外資系の広告メディア企業などです。

また、同じ会社に勤めている場合でも一般社員からリーダーやマネージャー、部長と役職があがると給料も増えていきます。

残業代が額面通りもらえるもらえない、ポーナスが出る出ないなども注意しましょう

運用型広告・Web広告運用のキャリアパス

新卒の配属や転職して未経験から広告運用担当者としてキャリアを開始した場合でも、その後のキャリアパスは様々です。

もっとも多いのは、会社のなかでリーダーやマネージャー、部長などの出世を目指すことでしょう。広告代理店からインハウスへの転職も人気があります。

広告代理店では、インターネット広告代理店や専業代理店、メディアレップ、トレーディングデスクなどから総合代理店のようなステップアップに挑戦する転職もみられます。

志向によっては、プラットフォーム側で広告商品の企画に携わることや、プランナーやコンサルなど別の職種へのキャリアチェンジも視野に入ります。

最近では経験を積んだ後にフリーランスとして独立したり、広告代理店やデジタルエージェンシーを起業するといった選択肢もとれるようになっています。

運用型広告の担当者になるには

ここまでお話しした通り、広告運用で働くには「広告代理店などの受託企業」と「広告主・メディア企業のインハウス担当」という2つの方向性があります。

パターンとして、どちらの担当者でも未経験OKの求人があるため就職・転職は可能です。

未経験OKの求人に応募して採用される

未経験からインターネット広告運用担当者になるためには、求人サイトや転職エージェントなどで未経験可の求人を探して応募しましょう。

第二新卒既卒といった20代の若手であればポテンシャル採用枠で転職もしやすいでしょう。

契約社員やアルバイトから正社員を目指す

広告運用業務ではパート・アルバイトや契約社員などで募集する求人もあります。正社員での採用が難しい場合は、まずは派遣契約などからでも職場にはいっていって実績を積む方法もあるでしょう。

運用が無理なら営業からスタートも

広告運用で採用されない場合も、まずは広告代理店やデジタルエージェンシーに営業やセールスで入社するという方法もあります。

入社後に同じ会社の部署移動で運用に異動することや数年間広告業界で働いてから、再度転職することで、運用担当に挑戦できるでしょう。

運用型広告の今後と運用担当者の将来性

運用型広告の将来を考える際に、AI(人工知能)技術がさらに発展すると広告運用者の作業はAIに代替されてしまうのではという話も耳にします。

実際に、Googleをはじめ、Facebook、LINEといった主要なプレイヤーは機械学習や深層学習への投資をおこない、自動化の機能を次々と実装しています。最適化の精度も数年前に比べ格段に向上しています。

そのようななか、広告運用の仕事に不安を感じることも無理はないでしょう。将来的に今は人間がおこなっているようなチューニング作業やレボーディングについてもコンピュータがすばやく行う世の中になるかもしれません。

とはいえ、この先数年でこの仕事がなくなることはないでしょう。また、マーケティングスキルをみにつければ仕事をみつけることは難しいことではありません。

広告運用に拘らず本質的なマーケティングや顧客とのコミュニケーションに視点を移していくと、世の中がかわっても仕事には困らないでしょう。