組み込みエンジニアのフリーランス単価相場は?年収・スキル・案件獲得
組み込み・制御系エンジニアのなかには、会社を辞めフリーランス(個人事業主)で独立したい方も多いのではないでしょうか。
フリーランスエンジニアに業務委託の求人を紹介するエージェントも増加しており、個人で仕事をしやすい環境が整備されてきています。
この記事では、フリーランスの組み込みエンジニアの仕事や単価相場、年収、高単価な案件獲得の方法など紹介します。
- フリーランスの組み込みエンジニアという働き方
- 組み込みエンジニアの仕事内容
- 組み込みエンジニアの単価・平均年収
- 組み込み・制御系のフリーランス案件の特徴
- フリーランスの組み込みエンジニアになるには
- フリーランスの組み込みエンジニアに必要なスキル
- 高単価な組み込みエンジニアになるために
- 組み込みエンジニアの将来性
フリーランスの組み込みエンジニアという働き方
組み込みエンジニアはフリーランスになれる?
電気メーカーや自動車、産業機器など製造業においてハードウェアの制御に関する組み込みシステムの需要は高く、業務委託や派遣などプロジェクト単位で働くフリーエンジニアは様々な現場で求められています。
そのため、企業での正社員経験があり、一般的な開発スキルを持つ組み込みエンジニアであれば、独立して仕事をすることは難しくないでしょう。
組み込みエンジニアの案件数・フリーランス求人動向
組み込み・制御系エンジニアのフリーランス市場を確認する指標として、企業が募集する求人数があります。
実際に何件ほど組み込みエンジニアの案件が掲載されているか、エージェントサイトで調べてみたところ、A-STARでは113件でした。
業務委託のエンジニア案件では、企業に常駐して仕事をするタイプがほとんどですが、最近ではリモートや在宅ワークで稼働する案件も増加傾向にあります。
フリーランスエージェントでは、サイト上に案件を公開しない非公開求人も多くあります。実際の求人数が気なる際は直接確認してみてもよいでしょう。
組み込みエンジニアの仕事内容
要件定義
ハードウェア製品や電子機器など、最終的な完成形や機能を考慮して、スペックや仕様について検討します。
製品の全体像を理解したら、組み込みシステムの構成やOS、制御方法などソフト面の仕様を作成します。
システム設計
ハードウェアの構成が固まったら、電子回路図の作成や基板レイアウトなどの設計も行います。
同時に、ハードウェアを制御するドライバーも用意します。
実装・テスト
設計した組み込みソフトウェアが機器上で動作するようプログラムのコードを実装します。
テストや検証をおこない、安全面でも問題ないことを確認します。
組み込みエンジニアの単価・平均年収
組み込みエンジニアの単価相場(フリーランス)
フリーランススタートの調査によると、フリーランスの組み込みエンジニアの単価相場は月額50〜65万円とされています。
組み込み、制御系案件の単価は、以前に比べると5万円ほど低くなっている様子もみられるようです。
組み込みエンジニアの平均年収(会社員)
経済産業省のデータによると、組み込みエンジニアの平均年収は603.9万円とされており、一般的な会社員の収入よりも高い金額となっています。
転職サービスdodaの実施した調査でも、20代で391万円、30代で527万円、40代で660万円と発表されています。
組み込み・制御系のフリーランス案件の特徴
次に、組み込み・制御に関するフリーランスエンジニア案件の特徴をみていきましょう。
言語やOSなどの傾向
組み込み系や制御系の案件では、C、C++、Javaなどのプログラミング言語の利用が多いです。機械語に近い、アセンブラ言語を使用することもあります。
OSでは、Linux、Windowsが多いですが、モバイル端末では、iOSやAndroidを使用します。
高年齢の案件もある
ITエンジニアのフリーランスは、50歳を過ぎると面談に呼ばれる案件が減ってきます。
しかし、30代・40代のフリーランスが少ない組み込みでは、50代以降でも声がかかりやすく単価も安定しています。
フリーランスの組み込みエンジニアになるには
ここからは「組み込み・制御系エンジニア」として独立してフリーランスになる方法を紹介します。
実務経験があれば独立できる
組み込みエンジニアとして正社員として働いていて、3年以上の経験があれば、すぐに独立してフリーで仕事を始めることができます。
ただし、組み込み・制御系で業務委託の仕事は客先に常駐する案件がほとんどで、在宅ワークの仕事は多くないことには注意しておきましょう。
未経験なら就職・転職を目指す
未経験者が組み込みエンジニアでフリーランスになるには、まずは正社員で就職して実務経験を積むことが重要です。
組み込み・制御系で採用されるには、大学などを卒業後に新卒で採用されるパターンが多いですが、ポテンシャル採用枠や第二新卒などの中途採用で転職することも可能です。
フリーランスの組み込みエンジニアに必要なスキル
組み込みエンジニアのフリーランス案件では、ソフトウェアの開発経験に加え、ハードウェアや電子基板などの知識が必要です。
プログラミング
組み込みエンジニアの仕事は、ハードウェアを制御するソフトウェアの開発です。そのため、CやJavaなどプログラミング言語での開発経験は必須といえるでしょう。
コンピュータ知識
家電や電子機器には小型コンピュータが搭載されており、組み込みソフトウェアをインストールします。メモリやCPUなどの仕組みについても理解しておきましょう。
電子基板
プロジェクトによっては、ソフトウェアだけでなくハードウェアについても知識が必要です。電子基板やマイクロチップなどの設計も行えると案件の幅が広がるでしょう。
高単価な組み込みエンジニアになるために
より高単価で働いて収入をアップするには、どのような点に気をつければよいでしょうか。
より商流の浅い案件に参画する
組み込み系・制御系の案件のなかでもより高単価なプロジェクトに参画するには、より商流の浅い仕事を選ぶことが重要です。
商流が浅いとは、発注元のエンド企業とフリーランスの間に入る中間業者が少ないことで、商流が深いとは間の会社が多いことを意味します。
エンド企業から直接発注を受けた企業を「一次請け(元請け)」とすると、一次請けから発注を受けた企業は「二次請け」さらにその下に「三次請け」というピラミッド構造があります。
エンド企業が支払う金額にもよりますが、より元請けに近い会社から案件を受注したほうが中間マージンが減り、フリーランスの手元に残る報酬が増えるということです。
上流工程やマネジメント経験を積む
同じ組み込みエンジニアの案件でも、要件定義や設計、企画などの初期におこなう工程のほうが、経験や幅広い知識を求められ単価が高い傾向にあります。
企画や提案業務のほかに、技術者としての経験を買われて技術顧問やアドバイザリーで活躍する需要も増えています。
マネジメントについても同様です。現場でプレイヤーとして仕事をする場合よりもPLやPMとして、プロジェクトをリードするほうが単価レンジは向上するでしょう。
時給や単価を上げたい場合は、それらを意識して仕事に取り組むと良いでしょう。
組み込みエンジニアの将来性
組み込み・制御エンジニアの将来性はどのように考えればよいでしょうか。求人動向や技術トレンドについても見ていきましょう。
組み込みシステムの需要は高い
家電やデジタルデバイスのほか、自動車やエレベーター、医療機器など、あらゆる分野で組み込み・制御のためのシステムが必要とされています。
IoTにより、産業用機器でのデータ収集やエアコン、家電などの操作をおこなうスマートホームなども発展しており、今後も組み込みソフトウェア開発の求人需要は拡大するでしょう。
そのなかで、正社員だけでなく業務委託で働く外部人材の活用リソースは重要になりつつあるのです。
IoTやAI、クラウドなどの活用が注目される
インターネットと接続する機器が増えることで、クラウドコンピューティングや情報セキュリティに関するスキルセットも評価が高まります。
自動運転や事故防止などの用途で研究が進む自動車産業はIoT・組み込み技術が求められる分野です。
人工知能、ビッグデータ、IoTなどの先端技術領域の知見はエンジニアとして、ますます必要になるでしょう。
継続的なスキルアップは必要
フリーランスの組み込みエンジニアで活躍し続けるなら、スキルアップはかかせません。
ETEC、OCRES、エンベデッドシステムスペシャリスト試験など組み込み技術者向けの資格取得を目指してみてもよいでしょう。
組み込みエンジニアに必須の資格はありませんが、技術力や知識の証明として効果があることも事実です。